彼岸花の秋
もうすぐお彼岸。
秋のお彼岸の花といえば「彼岸花」ですね。
子供の頃はとても苦手でした。
感覚的に受け入れられなかったのか、「地獄花」とか「幽霊花」という別名がそうさせたのか、真紅のカーペットのような「紅蓮の炎」と表現しても、決して大袈裟ではないその光景に圧倒されていたのかもしれません。
しかし、「白い彼岸花」の存在が私の苦手意識を和らげてくれました。
こうして一輪だけでも美しい白い彼岸花ですが、赤い彼岸花は極上の美女というところでしょうか。
「曼珠沙華」という別名もお持ちですが、サンスクリット語で「天界に咲く花」という意味で思わず手を合わせたくなるお名前です。
そんな素敵なお名前にふさわしく、お彼岸のタイミングを狙ったかのように短い開花期間を全うします。
彼岸花の球根には毒がありますが、土葬をしていた時代はお墓を虫や動物に荒らされないよう、田畑では農作物をネズミやモグラに荒らされないようにと人々の生活を守ってくれているのです。
それに何と江戸時代には「最後の非常食」として扱われていたようです。
球根の毒は水にさらすと抜けるようで、後は良質なでんぷんが残るというわけです。
さすがは「小石川御薬園」を開園させた江戸幕府です。
さて、彼岸花は独特の生態系をお持ちで、花を咲かせた後は葉が茂り冬になっても葉のままで冬を越します。
次の夏には葉を枯らしてひと休みに入り、秋雨を頂いてお彼岸のタイミングに花を咲かせます。
普通の植物とは逆のサイクルなのです。
そんな生態系から「葉見ず花見ず」とも呼ばれています。
これが花は葉を想い、葉は花を想う「相思相愛花」として言い伝えられるお話にもつながっています。
悲しい響きのお話しですが、「心はしっかりとつながっている」と解釈すると彼岸花がとても愛おしく思えます。
もう苦手ではありません(笑)。
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