光りの品格を纏う人


「光りを纏った人」
そう思わずにはいられない、品のある芯の強いご婦人に出会いました。

いろんな「運」の中で「仕事運」だけは恵まれているとずっと信じていた私に、仕事を失い望む仕事にも就けないサイクルが巡って来た時のお話しです。
「苦しい時の神頼み」とはよくいったものです。
痛い目にあった私は、ようやく神様やご先祖様と真摯に向き合うようになりました。
氏神様にやっと定期的にお参りするようになった新緑の頃、お供えした和菓子を神社のベンチでご相伴させて頂いてました。
季節感のある和菓子を清らかな境内で頂くという、穏やかな幸せを頂いたのです。
そんな折、もうひとつのベンチで同じように、何かを召し上がっているご婦人がいらっしゃいました。
決して良いお召し物ではないのですが、清潔感と何よりそのご婦人の放つ高貴さが「育ちの良さ」を感じさせます。
「良かったらご一緒しませんか?」という思いがけないお声がけに、私は迷わず応じてしまいました。
ご婦人は高校生のお嬢様と二人暮らしで、最近越して来られたようです。
ご主人様を亡くされた後、生計の基盤としてご自宅でエステサロンをという方法を選ばれました。
ご自宅をサロンにする限りは「場所は大事」と、兵庫県内屈指の高級住宅地に越して来られたというわけです。
これからサロンを開く母と娘という立場の方に、部屋を貸す寛大な家主がいるのだろうかと思ったところ、「いた」とおっしゃったのですから驚きです。
氏神様には毎月1日と15日にお参りをされ、事の成就をいつも感謝されているようでした。
今思い返しますと、神様からしっかりと助けられる方を教えて頂いたのではと、ただただ反省させられます。
「お時間さえ良ければ、これから我が家にいらっしゃいませんか?」と、また思いがけないお声がけに好奇心が背中を押し応じてしまいました。
お住まいのマンションは、思った以上の好物件でした。
中に入りますと余分なものはなく、「サロンが軌道に乗れば」と謙虚におっしゃいましたが、それを振り払うものが玄関ホールに飾られておりました。
美しいパステル画です。
白いカサブランカを描いた、ご婦人そのものを思わせる素敵なパステル画です。
しかも、ご婦人が描いたというのですからまた驚きです。
お茶を頂きながら今の物件に至るまでのお話しや、エステサロンを開く迄の経緯をお話し下さいました。
何という美しくも強い意思を持つ方と、自分自身の器の小ささを思い知らされました。
そして、このご縁はその後の私の人生の流れを納得させるものと思う程の、一度きりのご縁でもありました。
私自身が、引っ越しを余儀なくされる流れになったからです。
私にとって荒い流れの中で忘れていた素敵なご婦人のおひとりですが、こうして思い出す「きっかけ」のある今の有り難さに感謝です。
昔の私にはない感覚です。
「光りの品格を纏う人」は、なりたくても到底なれるものではないと今だからこそ強く思えます。
それでも、またお目にかかれるのではと心踊る今日この頃です。
私の心にほんの少し「ゆとり」が生まれたのかもしれません。
人生に無駄はないようです(笑)。









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