風のように光りのように


「ほら、相見さんもここで手を合わせて、〇〇様のお宅の工事が無事に終わるようお願いしなさい」
そこは新しく請け負った、新築現場の氏神様が祀られた神社だった。
私がインテリア担当として入社したはじめての会社に、不思議な工事担当さんがいらっしゃった。
今思えば、風水学を自然と体現されていた方だったように思われる。
歴史や暦に植物、そして仏教学や心理学に至るまで興味の幅がとても広い方だった。
おまけに地元の方ではなく(転勤の少ない会社)、北陸方面から尊敬する師匠のもとで弓道を学ぶ為、奥様とお子様方も連れだって移住して来られたという。
「こんなご家族もあるんだなぁ」という新鮮な驚きの一方で、家族運が貧弱な私は羨ましい思いが強かった事も覚えている。

そんな不思議な工事担当さんは、新しい現場の氏神様には必ずご挨拶をされていた。
お客様には特にその事は伝えてはいないが、お人柄は自然と伝わり、現場での紹介率は常に全国区で上位であった事も印象的だった。
お酒や釣りもお好きで、気の合うお客様とお出かけになり釣りを楽しみ、お酒と共にその場で魚を食したという話をお客様から伺った。
なんと、お客様の奥様が運転手としてご同行もされていた(笑)。
今のご時世では難しいお付き合いのあり方ではあるが、お客様がとても満足そうに語られたご様子は今も忘れられない。

数年後、私が転職した組織の大きい会社には、優秀な工事担当さんはいらっしゃっても、心根の気持ちのいい方にお目にかかる事はなく、それはそれで仕方のない事でもあった。
何しろ「地鎮祭を省いてしまおう」という、上役がいらっしゃったくらいだ。
生産性を上げる事を重視した発想だが、何とも思いやりのない発想であった。
土地のお清めを省くというのは風水学ではあり得ない話で、新築工事をお願いするにあたり、ご検討業者に「地鎮祭」に対するお考えを伺うというのも一考のような気もする。
担当者さんのお人柄を知る、「きっかけ」のひとつになるとも思われる。

さて、不思議な工事担当さんは、北陸方面にお戻りになったと後に伺った。
風のように光りのように通りすぎた、その不思議な工事担当さんが担当だったお客様方は幸運だったと思われる(笑)。
そして、そんな素晴らしい上司が見せてくれた、自然に感謝し神社へお参りするという習慣を、当時の私は素直に学べずにいた事は大きな反省事項でもある(苦笑)。



4月17日(月)から18日間は「春の土用」でございます。
季節の変わり目の目安でもある土用の時期は、ご自身を出来るだけ労ってあげて下さい(^-^)。

暮らしと風のかたち

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