神様の島とともに

「神様ご認可のお店」というものがあるとしたら、ここはそのお店と断言したくなる御土産屋さんがある。

竹生島に構える、唯一の御土産屋さんである。

花見便りが待ち遠しい季節に「良運」を求めて出向いた先は、滋賀県の琵琶湖に佇む「神様の島 竹生島」だった。

様々な伝説が潜んでいる島のようだが、その神秘性とともに「やあ、いらっしゃい」という気さくな一面も感じさせ、訪れる人の心を魅了してしまう不思議な島でもあった。

そんな島の御土産屋さんは、とても80歳を超えたとは思えない元気なご店主と息子さんが営んでいる。

はじめはご店主おすすめの草餅に心惹かれたのだが、ふとワンカップの地酒にも目が留まってしまった。

店内にはテーブルと椅子もあり、「御神酒がわり」とワンカップの地酒を佃煮のおつまみと共に頂いた。

お客様の流れが一段落すると、むくむくと湧き出す疑問を質問せずにはいられない私に、ご店主は快く応じてくれた。

神様の島には人は住めないし、電気も引かれていないそうだ。

したがって「自家発電装置」が必要になるのである。

そして、宝厳寺のご住職や関係者の方が、島の番人もかねて夜は寝泊りするという。

御土産屋さんのご店主はご自宅から、自身のモーターボートで通ってきている。

体調が優れない日もあるだろうとおたずねした所、大きな病気もなく元気に過ごしてきたと言う。

ただ、ご高齢ではあるので息子さんは勤めていた会社を退職し、ご店主の仕事を継ぐ決意をしたそうである。

この一連の話しに私はご店主のことを、「神様に守られた人」と思わずにはいられなかった。

ご店主のおかげで、竹生島でお土産を買う楽しみが守られたのである。

有名神社の近くで御土産屋となれば「だれか」が営みそうではあるが、自身のモーターボートで天候を気遣いしながら、「気力と忍耐」でもって小さな御土産屋を営む人間がどれだけ存在するだろう。

竹生島では御土産屋を営むというより、営ませて頂いているという気持ちがなければ務まるものではないと、ご店主の話しを通して思わせて頂いた。

そして、この素晴らしいご店主とお話しをさせて頂く幸運を下さった、竹生島の神様にも感謝でいっぱいである。


竹生島にお越しの折は、「神様ご認可の御土産屋さん」を是非ご利用ください。

もちろん、草餅もおいしゅうございました(笑)。


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